DV(ドメスティックバイオレンス)を正しく受け止めましょう。
○ DVは家庭内の問題ではなく、法律に違反する犯罪です。
DVとは、今ではご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、配偶者(夫・妻)や恋人から受ける暴力のことです。
「DV」という新しい言葉が使われるずっと前から夫や異性のパートナーからの暴力に悩まされ続けてきた女性は本当にたくさんいらっしゃったことと思います。にも関わらず、本当についこの間まで、この問題は世間からは「家庭内の揉め事」程度にしかとりあげげられず、その認識の甘さから多くの悲劇が繰り返されて来たことは既に皆さんのご承知のとおりです。
そこで平成13年に男女間格差を是正する国際的な流れとも呼応して、政党や派閥をこえた女性国会議員らの働きかけにより誕生したのが「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(通称「DV防止法」)です。この法律は施行より3年ごとに見直すことになっており、既に平成16年6月に一度改正され、このたび平成19年7月に第2回目の改正が交付されました。この改正部分は平成20年の春から使えるようになる予定です。
平成19年度 改正DV防止法のてびき
○ 基本的にDVとは下の表のような行為をさします
| からだへの暴力
・叩く、殴る、蹴る、小突く |
こころへの暴力
・殴る“ふり”をする |
| 経済的な暴力
・生活費を入れない |
セックスに関係する暴力
・望まないセックスの強要 |
| 子どもを巻き込んだ暴力
・子どもに暴力をふるう |
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
(DV防止法)
(この条文は誰もが理解しやすいように、聞きなれない法律用語をできるだけ排除し、勝手に誠証堂が日常語に置き換えてかきなおしてあります。また、直接に関係してこない条文は省略してあります。)
公布:平成13年4月13日法律第31号
施行:平成13年10月13日
改正:平成16年6月2日法律第64号
施行:平成16年12月2日
目次
前文(はじめに)
第一章(最初のとりきめ事)
第一条(DVとは)
第二条(国や都道府県の責任))
第一章の二(基本方針と基本計画)
第二条の2・3
第二章(配偶者暴力相談支援センターの仕事について)
第三条(配偶者暴力相談支援センターとは)
第四条(婦人相談員による相談など)
第五条(婦人保護施設による保護)
第三章(DV被害者の保護)
第六条(DVを発見したときの通報など)
第七条(配偶者暴力相談支援センターによる保護についての説明など)
第八条(警察官による被害の防止)
第八条の2(警察署などの援助)
第八条の3(福祉事務所による自立支援)
第九条(被害者の保護のための関係機関の連携協力)
第九条の2(苦情の適切かつ迅速な処理)
第四章(裁判で被害者の保護を命令してもらうには)
第十条(被害者の保護を裁判で決めてもらうことができる)
第十一条(担当してもらう裁判所)
第十二条(保護命令を裁判所に申し立てる場合)
第十三条(すみやかな裁判)
第十四条(保護命令を出してもらう裁判の進め方)
第十五条(保護命令の決定について)
第十六条(裁判のやりなおし)
第十七条(保護命令の取消し)
第十八条(保護命令の再度の申立て)
第十九条(裁判所の記録の閲覧などについて)
第二十〜二十二条 ←中略
第五章(その他)
第二十三条(担当者が守るプライバシーと人権について)
第二十四条(教育と啓発)
第二十五〜二十八条 ←中略
第六章(加害者の懲役や罰金など)
第二十九条(保護命令に従わない場合)
第三十条(嘘の訴えをした場合)
附則(つけたし)
前 文
(はじめに)
日本では、憲法で誰もが平等で尊い存在だと決められているので、みんなが人権を大切にし、男女平等の実現に向けた取組が行われています。
ところが、結婚相手やパートナーからの暴力は、犯罪行為とも言えるのに、ずっと見てみぬフリをされてきました。
その被害者は、ほとんど女性ですから、男女平等の実現の妨げとなっています。
このような状況を改善し、人権を守って男女平等の実現させるために、結婚相手や恋人からの暴力をやめさせて、被害者を保護するための法律を決めることになりました。
このことは、女性に対する暴力をなくそうという世界の流れにも沿うものです。
ここに、結婚相手や恋人からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援などの体制を整備することにより、結婚相手や恋人からのDVをなくすため、この法律を制定します。
第一章 総則(最初のとりきめ事)
(DVとは)
第一条
1この法律で、「配偶者からの暴力」(DV)とは、次のような暴力を言います。
・結婚相手からのひどい暴力で、怪我する危険があったり、場合によっては命が危ないもの
・結婚相手から気が変になりそうなくらいひどいショックをうける言葉の暴力
もしもあなたが既にDVが原因で離婚したのに、それでも引き続き暴力をうけた場合も同じようにこの法律で守られます。
2 この法律において「被害者」とは、DVを受けた人をいいます。
3 この法律では、市役所に婚姻届を出していない、いわゆる「内縁の夫婦」も同じように扱われます。
(国や都道府県、市町村の必ずしなければならないこと)
第二条 国と都道府県や市町村は、配偶者からの暴力を防止するとともに、被害者の自立を支援することを含め、被害者をしっかりと保護をするための責任を果たさなければなりません。
第一章の二 国の基本方針と都道府県の基本計画
(国の基本方針と都道府県の基本計画)
第二条の2・3
1 日本の内閣や公安委員会は、配偶者からの暴力をやめさせて、被害者を保護するための基本的な方針を定めなければなりません。そして、都道府県は、その基本方針にそって、実際にその地域のDVを防止するための基本的な計画を定めなければなりません。
2 (中略します)
3 DV防止の基本方針や計画を定めたり変更しようとするときは、あらかじめ、関係する役所や委員会に相談しなければなりません。
4 DV防止の基本方針や計画を定めたり変更したときは、なるべく早くこれをみんなに発表しなければなりません。
5、国は、都道府県に対し、計画をつくるために必用な助言やその他の援助をするように努力せねばなりません。
第二章 配偶者暴力相談支援センターなど
(配偶者暴力相談支援センター)
第三条
1 都道府県では婦人相談所などの適切な施設のなかに配偶者暴力相談支援センター(長いので以下は「DVの相談所」とします)としてのはたらきをもたせるようにします。
2 市町村(特別区を含む。)でも、その地域の適切な施設のなかに「DVの相談所}としての機能を果たすようにすることができます。
3 「DVの相談所」は、DVの防止と被害者の保護のため、次に掲げる仕事をします。
(1) DV被害の問題について相談にのることや、カウンセラーなどを紹介すること。
(2) 被害者の心と体のケアのため、医学的又は心理学的な指導など、必要な手助けを行うこと。
(3) 被害者やその家族の一時保護を行うこと(一時保護は国の認める民間団体に委託することもできます)
(4) 被害者が自立して生活できるように、新しい仕事や住む所、援護などについて様々な手助けをすること。
(5) 第四章に定める保護命令の制度の利用について、情報の提供、助言、関係機関への連絡その他の手助けを行うこと。
(6) 被害者を保護してもらえる施設の利用について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助を行うこと。
※「DVの相談所」は、必要に応じ、適切な民間の団体との連携にも努めるものとします。
(婦人相談員による相談など)
第四条 婦人相談員は、被害者の相談に応じ、必要な指導を行うことができます。
(婦人保護施設における保護)
第五条 都道府県は、婦人保護施設(DVシェルターなど)で被害者の保護を行うことができる。
第三章 DV被害者の保護
(DVの発見したときの通報など)
第六条
1 DVを発見した人は、「DVの相談所」や警察官に通報するよう努めなければなりません。
2 医師や病院は、DVが原因かもしれない患者を見つけたときは、「DV相談所」や警察官に通報することができます。ただしこの場合はその患者の意思を尊重するようにします。
3 DVの危険があるときはプライバシーや個人情報について決められた別の法律の決まり事はひとまず考えなくても良いと考えてください。
4 医師や病院は、DVが原因かもしれない患者を見つけたときは、その人に対し、「DV相談所」等の利用など、必用な情報を提供するよう努めなければなりません。
(配偶者暴力相談支援センターによる保護についての説明など)
第七条 「DVの相談所」は、被害の通報や相談を受けた場合には、必要に応じ、相談所の利用方法などを説明し、必要な手助けをすすめます。
(警察官による被害の防止)
第八条 警察官は、通報などで、DVを知ったときは、暴力をやめさせたり、被害者を保護するなど必要な措置を行わなければなりません。
(警察署などの援助)
第八条の二 全国の警察署は、DVの被害者から助けを求められたときは、DVを防止させる方法など、必用な援助を行います。
(福祉事務所による自立支援)
第八条の三 まちの福祉務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、その他の法令の定めるところにより、被害者の自立を支援するために必要な手助けをしなければなりません。
(被害者の保護のための関係機関の連携協力)
第九条 「DVの相談所」、警察署、福祉事務所などの関係機関は、被害者の保護を行うためにお互いにに連絡をとりあいながら協力しなければなりません。
(苦情の適切かつ迅速な処理)
第九条の二 前条の関係機関の職員が被害者から苦情の申出を受けたときは、すぐ適切に対応しなければなりません。
第四章 裁判で保護命令を出してもらう
(被害者の保護を裁判で決めてもらうことができる)
第十条
1被害者のあなたがDVから逃れるために離婚したのに、それでもDVが収まらずに重大な危険が続くおそれが大きいときは、裁判所に行きましょう。
裁判所は被害者の申立てにより、その危険を防止するために次の各号に掲げるような保護命令を出すことができます。
(1) (別居している場合)6ケ月間、被害者の身のまわりにつきまとったり、うろついたりしてはならない命令。
(2) (同居している場合)2ケ月間、被害者と共に生活している家から退去することと、その家のまわりをうろついたりしてはならない命令。
2 (1)の被害者と同居している未成年の子供がいる場合で、夫に子供が連れ去られたりする心配があるときは、同じく6ヶ月間子供の身のまわりをつきまとう事をやめさせる命令を出すことができます。
ただし、子どもが十五歳以上であるときは、その同意がある場合に限ります。
※さらに19年度の改正で新たに追加されるもの
・防止法によって接近を禁止された被害者にいやがらせの電話、ファックス、メールなどを送り続ける。
・防止法によって接近を禁止された被害者に汚物や動物の死骸、いやらしい手紙やポルノを送りつける。
また、19年度の改正で保護される対象として、被害者の親、子供、支援者も含まれることになりました。
(担当してもらう裁判所)
第十一条
1 DVの裁判は、基本的には相手方(加害者)の住所を管轄する地方裁判所で行います。。
2 また、第十条の(1)(2)の保護命令の申立ては、次の裁判所でもすることができます。
(1) 被害者の住んでいる地域の地方裁判所
(2) 実際にDV被害にあった土地の地方裁判所
(保護命令を裁判所に申立てる場合)
第十二条
1 保護命令の申立てをする場合には必ず次のことを書いてください。
(1) DVをされた詳しい状況
(2) これからもDVがエスカレートして重大な危険があるときはその理由や詳しい事情など
(3) 子どもを連れ去られそうなときは、その詳しい状況など。
(4) 配偶者暴力相談支援センターや警察に対し、相談や援助を求めたことかある場合は、
イ センター又は警察署の名称
ロ 相談や援助又を求めた日時と場所
ハ 相談又は求めた援助の内容
ニ 相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容
以上イ〜ニを詳しく書いてください。これが裁判をする為のあなたの言い分として採用されます。
2 (略します)
(速やかな裁判)
第十三条 裁判所は、被害者のあなたからこの申立てが出されたら速やかに手続きをしなければなりません。
(保護命令を出してもらう裁判の進め方)
第十四条 ただし、保護命令は、正式な裁判所の法廷で弁護士かあなた本人が裁判官に訴えかける(口頭弁論)か、加害者側を正式に呼び出してDVの事実を裁判官がくわしく聞きだしてからでないと命令を決めることができません。
でも、それでは日数がかかって間に合わないという事情があるときはこの限りではありません。
2 裁判を開いてもらう申立書に、第十二条にかいてあるイ、ロ、ハ、ニに掲げる事項の記載がある場合には、裁判所の支持に従い「DVの相談所」や警察は、裁判所に被害者との相談や援助のやりとりの記録の提出をしなければなりません。
3 裁判所は、必要があると認める場合には、「DVの相談所」や警察の職員からその事件について更に詳しく説明を求めることができます。
(保護命令の決定について)
第十五条
1 保護命令の申立てについての決定には、ちゃんとした理由を付けねばなりません。
ただし、口頭弁論をやらないで決定をする場合には、理由の要旨を示すだけで良いとなっております。
2 保護命令は、相手方に決定書を郵送するか、相手方に直接に言い渡すことで、その効力が生じます。
3 保護命令が決まったときは、裁判所はすぐにそのことを警察に通知しなければなりません。
4 ただし、保護命令は、権力による強制的な力(実力行使)を持ちません。
(裁判のやり直し)
第十六条
1 保護命令の裁判の結果について、夫婦のどちらかに不満があるときは、その場で裁判のやり直しを訴えることができます。
2 この場合でも、普通では保護命令の効力に影響を及ぼしません。
3 やり直しの訴えがあった場合に、保護命令を取消すのにじゅうぶんな説明があったときに限り、やり直しの裁判の結果が決まるまでのあいだ、保護命令の効力を停止させることができます。
(保護命令の取消し)
第十七条 保護命令を裁判所に申し立てた被害者のあなた自身が、事情がかわって今度は保護命令を取り下げることを申し立てた時には、裁判所は保護命令を取り下げます。
(保護命令の再度の申立て)
第十八条 保護命令が出された後に、被害者のあなたはすぐにでも別居したいのに、どうしてもやむをえない理由で2ヶ月間までに、DVの相手から別居することが出来ずにいるときや、その他必用と認めるときに、あなたからもう一度おなじ保護命令の申立てがあれば、もう一度同じ命令を出すことができます。ただし、その命令によって夫婦の生活に特に著しい支障がある場合には、命令をしないこともあります。
(裁判所の記録の閲覧やコピーについて)
第十九条 保護命令に関する手続について、当事者の夫婦両方とも、裁判所に対して事件の記録を閲覧したり、コピーをもらったり、事件の内容の証明書を書いてもらうことができます。
ただし、加害者の方は、保護命令の申立てに関し裁判所から正式な呼び出しや保護命令の郵送があるまではこれを請求できません。
(法務事務官による宣誓認証)
第二十条 (略します)
(民事訴訟法の準用)
第二十一条 (略します)
(最高裁判所規則)
第二十二条 (略します)
第五章 雑則
(職務関係者による配慮等)
第二十三条
1 DVによる被害者の保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者は、その手助けをするときには、被害者の“こころ”と“からだ”の状況や、置かれている環境などを踏まえ、被害者の国籍、障害の有無等を問わずその人権を尊重するとともに、その安全の確保及びプライバシーの保護に十分な注意と気配りをしなければなりません。
2 国及び地方公共団体は、これらの職務関係者に対し、被害者の人権やDVへの理解を深めるために必要な研修及び啓発を行ないます。
(教育と啓発)
第二十四条 国及び地方公共団体は、配偶者からのDVに関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めます。
(調査研究の推進等)
第二十五条 (略します)
(民間の団体に対する援助)
第二十六条 (略します)
(都道府県及び市の支弁)
第二十七条 (略します)
(国の負担及び補助)
第二十八条 (略します)
第六章 罰則
第二十九条 保護命令に違反した加害者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられます。
第三十条 被害者の方も保護命令を出してもらう申立書に嘘の記載をした場合には十万円以下の過料にを払わねばなりません。
附 則〔抄〕
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。ただし、第二章、第六条(配偶者暴力相談支援センターに係る部分に限る。
)、第七条、第九条(配偶者暴力相談支援センターに係る部分に限る。)、第二十七条及び第二十八条の規定は、平成十四年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 平成十四年三月三十一日までに婦人相談所に対し被害者が配偶者からの身体に対する暴力に関して相談し、又は援助若しくは保護を求めた場合における当該被害者からの保護命令の申立てに係る事件に関する第十二条第一項第四号並びに第十四条第二項及び第三項の規定の適用については、これらの規定中「配偶者暴力相談支援センター」とあるのは、「婦人相談所」とする。
附 則〔平成十六年法律第 64号〕
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行します。
(経過措置)
第二条 (略します)
(検討)
第三条 新法の規定については、この法律の施行後三年を目途として、新法の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。